「AI保全検討会」の設置について(R1)

(R1):2020年3月5日
平成30年3月22日

1. 設置の趣旨と目的

原子力プラントなど巨大システムで常時モニタリングされているセンサ信号は数千にも及ぶ。これらのセンサ信号群から機器・構造物の異常兆候を早期に検知し(=予兆保全)、これをメンテナンスに活用することができれば、事故・トラブルの発生確率およびプラント停止時間を最小化することが可能。このような予兆保全技術は、原子力以外の一般産業ではすでに開発・適用されている。ここでは状況調査を実施する。

本検討会では、単に異常兆候を検知するのみではなく、さらに機器・構造物の異常情報(機器・モード・原因・故障率など)及び人間の行為等を検知する手法を新たに開発することを目的とする。このためには、プラントにおける過去のセンサ信号群と異常情報のデータセットから、特徴量を抽出して相関関数等を構築し、これを現在のセンサ信号群に適用することで機器・構造物の異常情報を定量的に推定する手法を考える。

本検討会ではその手法としてAI(深層学習)を適用し、これを開発することを目的とする。

さらに、推定された異常情報を活用することで、その機器・構造物の故障などがもたらすプラント全体の事故・トラブル発生確率の変化も推定できる。本検討会では、この変化に対する感度解析を行うことで、プラントの安全度&稼働率を最適化するための保全シナリオ(機器・構造物の補修・交換間隔等)を導出する手法の開発も行う。

2. 調査検討課題

(1) 運転時の原子力プラントにおけるセンサ信号群からの異常兆候検知手法の検討。

(2) AI(深層学習)等を用いた、センサ信号群からの異常情報(機器・モード・原因・故障率予測)の推定手法の検討。

(3) プラントの安全度&稼働率を最適化するための保全シナリオ(機器・構造物の補修・交換間隔等)の導出手法の検討。

(4) 一般産業設備における人工知能保全の異常検知手法の検討。

3. 期間、体制等

(1)期間:平成30年度 開始
(2)体制:学識者、電力会社、メーカ他
(3)主査:出町和之准教授(東京大学)