支部長挨拶
日本保全学会西日本支部の敦賀移転にともない支部長を仰せつかりました福井大学附属国際原子力工学研究所・所長の宇埜正美でございます。
東京電力福島第一発電所事故より14年経過し、一昨年度のGX推進戦略や本年2月の第7次エネルギー基本計画の閣議決定などにより原子力発電に理解を示す方が増え、学生の原子力分野への進学、就職人気も徐々に戻ってまいりました。一昨年度までに再稼働した12基のPWRに加え、昨年度は2基のBWRも再稼働を果たしました。同時に我が国では、福島第一、第二発電所を含め23基の発電所が廃炉に向けた準備を進めています。この再稼働は、新規制基準に対応したこれまで以上の作業が伴い、より多くの人材とDX技術の活用等が必要です。また、今後本格化する廃炉は、これまで経験したことのない課題が生じる恐れもあり、たゆまない技術開発が不可欠です。
国内でいち早く再稼働を果たした関西電力の7基の発電所や既に廃炉作業が進行している「ふげん」や「もんじゅ」が立地している福井県嶺南では、これら保全・廃炉における課題解決に向けた取り組みにいち早く着手しています。
保全学会西日本支部は、この敦賀で培った保全技術を全国の皆様と共有すべく、そのための人材育成活動等の一助となるよう努力してまいります。ぜひ西日本においてプラント保全や廃炉に従事している皆様方のご協力を賜りたいと思います。さらに30年は続くであろう廃炉の完遂とリプレイスされる新型炉にフィードバックできるような保全技術の開発を目指して、ぜひ多くの若い方の参加をお待ちしております。
2025年7月
