1970年代にBWRプラントのステンレス鋼配管に応力腐食割れ(SCC)が検出されて以来、超音波探傷試験(UT)は、SCCの検出及び高さ測定(サイジング)に適用されている。

従来は横波斜角法によるUTが一般的であったが、横波斜角法ではSCCが溶接金属内部にまで進展している場合にSCCの先端部を捉えきれず、実機に発生したSCCのUTによる高さ測定結果が過小評価となる事例がいくつか認められた(2002年)。

これを克服すべく、2000年代中盤に掛けて、溶接金属内部の透過性の高い縦波を用いるとともに、フェーズドアレイ技術等を活用した実用化に資するサイジング技術を開発(縦波斜角法やモード変換を利用した手法と組み合わせる等)したことで、SCCの高さ測定(サイジング)を高精度で効率よく実施できるようになるとともに、測定結果の説明性を高めることができた。

さらに、SCC測定結果の信頼性を担保するPD認証制度の制定(2005年度から運用)と相俟って維持基準による健全性評価が可能となり、SCCが存在する場合でも継続使用が可能となる道を開くことができた。

各社では、更なる技術開発を進めており、今後の高経年化プラントの健全性確認に大きく貢献することが期待される。

 

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認定番号 保全遺産第12号
年度 2023
対象名 超音波によるオーステナイト系
材料溶接部の欠陥サイジング技術
所有機関 日立GEニュークリア・エナジー㈱
東芝エネルギーシステムズ㈱
㈱IHI
三菱重工業㈱