日本保全学会 事務局
東京都台東区池之端
2-7-17 IMONビル 10F
電話:03-5814-5430
FAX:03-5814-6705
secretariat@jsm.or.jp

「非破壊検査技術高度化研究調査」分科会設立趣意書

1. 目的

 近年、温暖化を初めとする地球環境への配慮から、風力・太陽熱など自然エネルギーの活用技術の開発とともに、原子力エネルギーの活用・復権に対する期待が高まっており、世界的な規模で見れば多数の新規原子力プラントの建設計画が現実味を帯びてきているとともに、新型炉の技術開発なども検討されている。 他方、既存の原子力発電プラントは、多くのプラントで高経年化が進んでおり、これらプラントを60年あるいは80年に渡り、健全かつ安全に運用してゆくための技術開発などが行なわれている。 そのような動向の一つとして、国内でも原子力安全・保安院が主導する損傷現象の解明や検査技術あるいは補修・保全技術の高度化に向けた技術基盤の整備が計られている。
 このような情況のなかで、非破壊検査技術は、補修・保全技術や運転中の継続監視技術とともに、その高度化へのニーズはなお一層高まっている。
 以上の現状を踏まえ、保全学会では従来実施されていた「非破壊検査技術研究調査分科会」に引き続き、主に原子力プラントの高経年化に対応すべく、「非破壊検査技術高度化研究調査分科会」を設立し、その成果をもって学会活動としての社会貢献を目指すことを提案する。

2. 実施内容

(1) 非破壊検査 新技術の適用性評価試験の実施とデータの公開

 経年原子力プラントの損傷事象として重要性の高い応力腐食割れや、製造時あるいは補修時の溶接欠陥(内部欠陥)を取り上げ、2機関より提供される予定の欠陥付与試験体の探傷試験を、適用性評価試験の参加機関(任意希望)が種々の新手法にて実施する。 また、収集された探傷試験データは、基本的に公開し、解析・評価を得意とする研究者がこのデータを用いて新たな手法を開発することを奨励し、その結果を各研究者の成果とするとともに本分科会に成果を開示してもらう。 分科会は、以上のデータの公開と成果の公開をもって学術面での社会貢献を行なう。

(2) シミュレーション技術の高度化調査の実施

 近年、コンピュータ技術の発展・一般化に伴い、原子力プラントの損傷事象と検査結果の対応の解釈や、最適探傷条件の検討などのためにシミュレーション技術を活用した非破壊検査技術が多用されるようになって来た。 例えば超音波探傷に関しては多くの研究者がシミュレーションコードを開発するとともに、市販のシミュレーションコードも多様化している。 しかしながら、個々のコードの長所短所が十分に認識されているとは言いがたい。そこで、まず初めに超音波探傷のシミュレーションを取り上げ、個々のコードの目的とするところや長所短所に関して調査し、効果的な活用・住み分けなどを検討するための一助とする。

(3) 非破壊検査の新技術に関する情報交換

 非破壊検査において用いる技術あるいは物理現象は、他の技術分野においても用いられている事が多く、これらの情報にアンテナを高くすることは有益である。そこで、例えば医療や地中探査など他の技術分野の情報に関しての情報収集・交換に努める。

(4) 国際活動の展開

 国内の技術を広く世界にPRし、また国際的な情報を収集するために、QNDE・ENDE・ISEM・アジアにおける検査・保全技術ワークショップ(東北大学グローバルCOE主催)などの開催を支援し、得られる国際的な情報の分科会・学会における共有化を計る。

3. 委員会開催

年4回程度を予定。